長距離おさんぽ部

長い散歩が好きです

雨と田んぼと廃校舎(宮城県南三陸町 陸前戸倉〜さんさん館:14km MCT day14)

梅雨の真っ只中、6月。

雄勝周辺は公共交通機関ではどうにもアプローチが難しく、そちらは後回しにして先に南三陸の方から歩くことにしました。

石巻市の前谷地駅から南三陸町を通過して気仙沼駅まではかつては気仙沼線と呼ばれるJRの鉄道路線が走っていましたが、震災により沿岸の線路が甚大な被害を受け、利用者の減少もあり復旧がほぼ断念されています。

その代替として走っているのがBRT(バス・ラピット・トランジット)です。JRが運営しているため、乗車券も仙台駅から一括して買えます。

一般道を走る区間もありますが、大半を専用道路を走っているため、渋滞等に巻き込まれて遅延することもめったになさそうです。みちのく潮風トレイルは陸前戸倉から北側でこの路線沿いに歩いていくことになるため、要所要所にあるこのBRTは非常に便利です。

今回は南三陸町の陸前戸倉駅からスタートして、山間の入谷から田束山を上がり気仙沼市本吉の陸前小泉の駅がゴールです。このコースを途中廃校を利用した宿、さんさん館に宿泊し1泊2日で抜けていきます。

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本日のスタートのBRT陸前戸倉駅。このようにバス専用道路が延びています。専用道路を走るバス、ということで高速バスのようなイメージがあるかもしれませんが、普通の路線バスです。乗り心地も路線バスなので、長時間乗るとだいぶ体力が削られます。
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志津川湾の方にまっすぐの道。道路工事も進んでいます。

どんよりした梅雨の空ですが、6月末とはいえ涼しく歩きやすいです。雨具をしっかり用意してきました。

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朝の志津川湾は穏やかです。
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ちょっとした林道に入ると草木の新しい緑が美しい季節になっていました。ふと足元を見た時のコケや雑草にも一つ一つ名前があるのだなぁと思うとうれしくなります。f:id:ochinaihappa:20230301233325j:image

写真だととても遠いのですが、中央に見える茶色の鉄骨の建物は、震災遺構となってしまった南三陸町防災対策庁舎です。

震災当時、町の災害対策本部となっており想定を超える津波が押し寄せるその時まで防災無線で町民に避難を呼びかけ続けて亡くなってしまった女性職員さんがいらっしゃいました。

庁舎に勤めていた方々も屋上まで上がったものの津波に飲まれ、多くの方々が犠牲になりました。現在は南三陸震災復興公園として整備されています。
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震災後、津波の到達地点にこのような碑が複数建てられており、ここで将来生活するであろう人たちに伝えていこうとしています。

2011年の大津波以前にも三陸は明治三陸津波(1896年)、昭和三陸津波(1933年)と何度も津波が到達しており、過去の石碑も残っています。

津波に限らず自然災害の伝承碑は全国にあり地理院地図でも確認できますので、興味のある方はぜひ見てみてください。

www.reconstruction.go.jp

津波の到達地を抜け入谷の方に入っていきます。

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雨脚が強くなってきて雷も鳴っています。レインコートを着てザックにレインカバーも装着したのですがあまり守れている気がしません。天気は悪いですが道が良いので不思議と不快ではありません。
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途中にあるボックスカルバート。長くて雰囲気があります。足元がべちょべちょで目が慣れずに結構暗いのでライトがあったほうが良いかも。
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モアイ!?この先たくさん出会うことになります。
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水を張って田植えをしたばかりの田んぼです。私はこれが好きで好きで、思わずずっと眺めてしまいます。カエルの合唱も聞こえ、生まれ育った田舎を思い出します。帰りたいというより帰ってきた感。
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東北の田んぼにはカモメ(ウミネコ?)がいるの!!!?と驚きまくった光景。山の中っぽいですが結構海は近いのであちこちでカモメを見ました。九州にいた頃は海が近い割にそんなことなかったような気がするのでびっくり。
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入谷八幡神社のゆめ多幸鎮「オクトパス君」。受験生はぜひ!オンライン販売もあるよ!

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番ヤギ。ヤギはかわいいです。草も食べてくれるし家の敷地が広ければぜひ飼いたいです。
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ちょっと怖い。なんだろう。宮古島まもるくん??
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入谷の方は自然な形の棚田が残っています。地形に合わせてこのような形の田んぼで稲を育てるのは、農作機械の問題でなかなか手間がかかりますが大切にされているんでしょう。
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レインコートを着ているはずなのにびしょ濡れになりながら今日の宿に着きました。ここは小学校をリノベーションしてできた宿泊施設で、今回宿泊支援もありお得に宿泊できました。一泊二食付きです。

san3kan.net

周辺も小川が流れていて、宿泊して里山の自然を楽しむのに宿泊するのも大変良い経験になると思います。
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平日だったこともありまさかの校舎を一人で貸し切り状態です。リノベーションされているとはいえこういう廊下や調度品はそのまま。小学校時代を思い出します。
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部屋はこんな感じ。他にお客さんがいなかったため、一人なのにトリプルの部屋を案内していただきました。ユニットバスもついていて困ることはありません。共同の大風呂もあるようです。

カーテンを開けると校庭と自然豊かな風景が見えます。
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トトロとかで見たことある電話。
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きっと小学校の頃からあったんでしょう。少しギシギシしますが木の階段です。
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豪華夕食!山菜、魚介類、鴨肉でフルコースです。
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電気が消えると肝試しのようになります。宿直の方はいますが広い校舎にほぼ一人...。

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今回は宿泊するということもあり14kmと控えめでしたがちょうどよかったです。雨の中対策をしっかりしていたと思いましたがザックの中はバケツのようになっていました。

レインカバーは背中から結局入ってくるので今一つ信用ならないです。ポンチョみたいなのでザックごと被っちゃえばいいのかなぁ、と思いますがそうすると水が気軽に飲めなくなるし難しいです。

土砂降りの中歩いていたら宿の方にすれ違う車から見られていたようで心配されていました。