長距離おさんぽ部

長い散歩が好きです

白波と絶景の唐桑半島(宮城県気仙沼市 早馬神社~石浜 民宿なぎさ:20km MCT day22)

今回は時間がとれたため最長の2泊3日。3日で50km歩く予定を組みました。ルート途中の民宿に宿泊する予定なので豪華な民宿ごはんが楽しみです。

初日は前回と同じく気仙沼からタクシーで早馬神社へ。唐桑半島を一周し、石浜の民宿なぎささんでゴールです。

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今日もとても良い天気に恵まれました。前回より少し木々が色づいて秋の深まりを感じます。今日も早馬神社で楽しい散歩になるようにお参りしスタートしました。
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浦漁港は相変わらず海とは思えない鏡のような水面。少しカラフルになった木々が反射して思わず目を奪われます。
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水中も透き通り魚やヒトデが見えます。スタート直後にも関わらずあまりの美しさに足がすすみません。
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少し日差しは強いくらいですが、11月に入り少し肌寒いです。空気も澄んで散歩日和になりました。
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唐桑は三陸地方のカツオ一本釣り発祥の地だそうです。気仙沼港はカツオの水揚漁日本一ですが年々水揚げ量は全国的に減ってきています。カツオは巻き網か一本釣りで漁が行われるのですが、一本釣りの方が傷がつきにくいことから価値が高く、また根こそぎとらないため持続可能な漁業と言われています。

最近は海流の影響か、海の資源を使い果たしてしまったのか、今まで取れていた魚も採れなくなってきており、特に今が旬の秋刀魚は値上がりが著しいです。

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なかなか不安になるトンネル。トラック含め車は結構通るので、近くに車がいないことを確かめてからトンネルを歩きます。車もこんなところを人が歩いていたら多分びっくりしてしまいそう。
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小鯖の防集団地の前のベンチ。歩いていると道端になんとなく置いてあるベンチの存在がとてもありがたく感じます。今まで唐突なベンチ(宝くじ協会とかがお金を出している)をみても、バス停以外は一体なんのために…と思っていたところがありますが、最近わかりました。疲れた旅人のためにあります。都会にももっとちゃんと座れるベンチを。

「防集」というキーワードはおそらく聞き慣れないかと思います。私もこちらにきてからよく聞くようになりました。

「防集」とは「防災集団移転促進事業」の略で、被災地や今後災害に遭う可能性のある区域にある住居を集団移転させるという事業です。長崎県の雲仙普賢岳の噴火や新潟県中越地震等でも活用されました。

海沿いの被災地から高台に上がったところにはこのような防集団地が複数見られます。コミュニティを維持したまま移転できるのは一つのメリットになりますが、不便なことも多く、新しい町づくりをどのように進めていくかというのはここで暮らしていく方々と行政の課題でもあります。
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途中びっくりするほど迂回をさせられ唐桑半島の自然歩道の入り口の御崎神社に到着しました。お昼ごはんをどこかできっと食べられると思ってうろついていたのですがどこも閉まっていて、仕方がないのでベンチに座って羊羹やらゆべしやらゼリー飲料やらでお腹を満たしていました。

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自然歩道にいい感じの棒の杖置き場があったので一本拝借します。心強い棒です。

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文字は読めませんが鯨塚、鯨の供養塔。
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海に出ると荒々しい岸壁と渦巻く白波、青とまじって水色に輝く海に見惚れてしまい最初の地点で随分時間をロスト。太平洋側はど日本海側に比べるとどこも開放感があって、穏やかなイメージがありますが、このダイナミックさはまさに何者も寄せ付けない海という感じで私の海の好きなところでもあります。

海は広くて雄大で何もかも受け入れてくれる…というようなイメージもあるかもしれませんが、私の故郷は荒れ狂う玄界灘のため海は厳しく渦巻き、人間が自然に立ち向かえることなどほんの少ししかないのだと感傷に浸れます。

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あまりの荒れっぷりと絶景に語彙力を失いずっと動画を撮っていました。たまに大きな波が来て、打ち上がる飛沫はいくらでも見ていられます。

動画は一度Youtubeに上げてリンクを貼ればよいのでしょうか。トレイルを歩いている間にずっと撮り溜めた動画があるんですが、完全に自分が疲れた時に眺めるようになっています。

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これは震災で打ち上げられた津波石です。これだけ巨大な礫が押し上げられるパワーを持っていました。縄が張られ御神体のようになっていました。

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どこを切り取っても白波と青い海です。この自然歩道は結構階段の上り下りがあり大変だったので、最初にいい感じの棒をお供にして本当によかったです。
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笹浜漁港前の玉石でできた海岸です。波の音が石を転がす音でパラパラと鳴り、耳でも楽しめる海岸ですが、潮が満ちてきていたので少しハラハラしました。
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折れた石、折石。折れなくても一本だけ残って名前をつけたくなる石なのに、折れたから折石と名付けられることの不思議さについて真剣に考えていました。調べてみると折れる前は天柱岩やろうそく岩と呼ばれていたらしいです。1896年の明治三陸津波津波で2m近く折れてしまいました。

ここもダイナミックな波飛沫を見ることができ、あれからこの波に100年以上耐え続けている折石は不屈の精神の持ち主です。f:id:ochinaihappa:20230302001554j:image

水取り場。美しい清水が湧いていて漁師が飲み水を取る場所になっていた、という解説がありました。湧水の場所は左側の見えない位置にあるそうです。でもこんなに荒れ狂っていたら船でとてもじゃないけれど入って来られませんね。

波は大荒れなのに透き通るほど青いので吸い込まれそうになってしまいます。波の方向もめちゃくちゃでここに入ると絶対生きて帰れなさそうです。
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今回導入した行動食。シリアルをナルゲンボトルに詰めてきて歩きながらカリカリ食べています。ナルゲンボトルが好きでご当地オリジナルボトルがあるとついつい買ってしまいます。ナルゲンは軽くて余計なパーツがなく洗いやすいのに全く漏れない優秀なボトルです。防災用品を入れて非常用ボトルにもなります。

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折石のキャラクター、オーレ君。折れないで生きてほしい。

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思ったより自然歩道がハードでだいぶ足に来てしまいました。舗装路に戻りふにゃふにゃになりながら頑張って歩きます。紅葉が綺麗です。
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唐桑の二本杉。指定文化財です。杉には嫌な思いしかないのですがここまで大きく育つと神秘的です。なぜこれでもかというほど植えてしまったのか。

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最後の坂に少しだけ心折れそうになりながら民宿なぎささんに到着しました。ちなみにこれは朝撮った写真です。

民宿なぎささんはみちのく潮風トレイルサポーターズであり、ハイカーを暖かく支えてくださる宿です。中には潮風トレイルのスタンプやカレンダー、案内がいっぱいです。

ちなみに私はここまでトレイルのスタンプの存在を全く知りませんでした。釣石神社のこっこ屋さんでスタンプ押していったら?と言われ何のことやら…と思ってマップにデカデカとスタンプを押したのですが、ハイキングパスポートというスタンプ帳があり、集めるとピンバッジを買う権利をもらえたりしたようです。

今更気づいてとても悔しいのでもうずっとここから先も知らないことにしておきます。ピンバッジ欲しかった!!!!

m-tc.org

民宿の豪華夕飯。これでもかというくらいいろんな魚介類が並んでいます。お風呂もゆっくりつかって大満足です。

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宿の部屋の中にあったこの椅子がとても助かりました。歩き疲れるともう足のあちこちが痛く、椅子に座らないと靴下を履くのが一苦労なのです。

トレースの高低差を見てもらうとわかりますが、このルート本当にアップダウンがきつく、階段に心が折れます。同じ分だけ雄大な景色で回復はするのですが、いい感じの棒、もしくはちゃんと両手にトレッキングポールを持っているだけで大違いかと思いますので、計画性のある方はしっかり持ってきてください。

海岸付近まで降りる階段を見るたびに、降りたら登るんだよな…と絶望していました。あと2日もあるのにだいぶへとへとですが、明日はいよいよ岩手県です!