長距離おさんぽ部

長い散歩が好きです

潮風に乗せて、風の電話と鯨山(岩手県大槌町 吉里吉里〜山田町 岩手船越:17km MCT day36)

昨日までの疲労も超回復気味にすっかり取れ、4日目を迎えました。今日の歩きは昨日の疲れを見越してかなり少なめに設定しましたが、山登りがあるのでどうなるか…。

昨日はこれ↓

hirasanpo.net

明日は金華山に行くのでGWの三陸鉄道はこれで最後です。このテーブル付きの車両がなんともいえずのんびり。海と新緑を眺めながら吉里吉里に向かいます。

 

釜石から吉里吉里までは電車で30分くらい。歩くと4日かかったのに…(箱崎半島込みですが)と思うか、電車で30分もかかるところまで歩けてしまった!と思うかは人それぞれですが、私は毎回行きと帰りの電車運賃を見てめっちゃ歩いたな…と実感します。三陸鉄道は2駅先に歩くだけで金額がつんと上がります。

可愛いクマさん。会いたくはないけれど遠くから見てみたくはあるクマさん。

吉里吉里から次の駅の浪板海岸まではあっという間です。

ちょこっと曇り空が残念ですが天気は回復傾向。浪板海岸のすぐそばには三陸花ホテルはまぎくさんがあります。ホテルから出てきて朝の散歩をしているお客さんもいて、とてもいい場所だなぁと思いました。

私はここ最近のみちのく潮風トレイルでは荷物を持って歩くのを完全に諦め、宿から宿に荷物を抱えて歩くことをしていないためなかなか道中の宿に泊まれないのですが、トレイルを歩いていると、ここに泊まりたい!今度お休みの時ここに来ようかな!と思うような素敵なロケーションの宿にもたくさん出会うことができます。

すっかり晴れてきて浪板海岸駅そばの素敵な踏切と商店。ここから今日の山、「鯨山」に向けてどんどん登っていきます。

まず最初に出会うベルガーディア鯨山の風の電話。童話の中に出てきそうな素敵なお庭の中に線の繋がっていない電話ボックスが佇んでいます。この場所、かなり有名なスポットだったようなのですが、私はあいにく絵本も知らず、映画も見ておらず、これにまつわるニュースも全く知らず。

しかし風が吹き抜けていく緑の庭の中で、亡くなった方に思いが伝わるという電話を静かに眺めました。自分の今の話を伝えたい心残りのある故人は思いつかなかったので、どうかこの受話器を取る人の思いが届きますように、と祈りたいです。

鯨山の山中はまだ下草も伸びてきていないのでとても歩きやすいです。みちのく潮風トレイルは季節によってはイバラと戦ったり、藪漕ぎになることもあるようですが、私はなぜかいつも寒い時期にばかり集中して歩いているのであまり困ったことがありません。

これはキツツキ?山に入っていてずっともののけ姫にでてくる「こだま」のようなカラカラ音がしてきていてずっと怖かったのですが、最近キツツキやコゲラだと気づきました。「こだま」の音もキツツキの音からきているのかもしれません。静かな森の中に響くコツコツ、カラカラ、と響きわたる音の不自然さはなかなか不気味です。そして鳥だとわかったところであんなスピードで頭を木に叩きつけたらどうにかなってしまいそう…と心配でなりません。

そんなこんなであっという間に山頂です。おそらく南から登ってくるのはかなり楽ちん。これから書きますが北からは少し大変…。

山頂には立派な鳥居がありました。いつも思うのですが、この石鳥居運んでくるの大変だったでしょうね。しかし社を置きたくなるとても眺めのいいところです。

写真右側が南側。昨日まで歩いてきた海岸線です。左にこれから立ちはだかる船越半島が見えます。

さて、北側の登山ルートですが、いきなり岩場の連続ではいどうぞ!と鎖が設置されています。これがいくつも…。青少年の家のアドベンチャールートのようです。楽しいだろうなぁ、子どもであれば…。

ここを降りるのは少々怖いのですが、そんなに危険な場所でもないので膝の曲げ伸ばしに難を抱えながらもアドベンチャー具合にツッコミつつ降りていきます。途中北から登ってきて鎖場目前にもうヘロヘロなご夫婦に会ったけど頂上まで行けたかしら。

鎖場を抜けると素敵な落葉樹地帯。今現在花粉症に苦しみながら記事を書いているのでこういう杉林ではない森は大好きです。

終わりかけのツツジ。鎖場さえ抜けてしまえば多少アップダウンはありますがあっという間に下山です。陸中海岸青少年の家に出ます。

ちょうど八重桜が散り始めていました。

ふと開けたところに出ると空と海の青さに驚きます。ちょうどここで12時のお昼のチャイムを聞きました。

青少年の家の敷地から出るとしばらく舗装路が続くのですが、片側に海を眺めながら気持ちよく歩くことができます。この日は思わず声が漏れるほどの絶景の海でした。

少し暑いですがこんな感じで木陰もあります。右側に三陸自動車道が走っているのを見下ろしながら歩いていきます。車もほぼ通らないので歌ったりラジオを聴いたり…。途中弁天島のベストビュースポットがあったのですが、2m近くの脚立に登ったカメラガチ勢のおじさんがいて、こちらにまったく気づく素振りがなく、近づいてびっくりして落ちたりしたら嫌だな、と思ったので写真は撮れませんでした。いつかまた晴れた日に。

青看板を見ると青森まであと282km!この青森は青森市のことだと思うのでゴールの八戸よりまだ先ですが、こんなに歩いてきたのだなぁ、ゴールが現実的になってきたなぁと感じます。

何はともあれ今日のゴールは岩手船越駅。船越湾の海の色は宝石のようでした。ここからもうすぐ駅だと思ってなんだか賑わってそうなところに来てしまったら船越公園でした。船越公園はちょうどチューリップ祭り中。

前の記事で書くのを完全に失念してしまっていたのですが、前回鵜住居から吉里吉里まで歩いた時、筋山に入る前にお庭のお花の手入れをしていたおばあちゃんに、コーヒーでも飲まないかとお誘いいただき、コーヒーとかっぱえびせんを食べさせてもらっていた時に、公園でチューリップ祭りをやっていると聞いていたので駅に行く前にここに寄りたかったのです。おばあちゃんは大谷翔平選手の熱烈なファンだったようで、一緒に大谷翔平のYouTubeを見ました。初対面なのに。

情報量が多いですね。素敵な出会いだったので1時間以上ゆっくりしていたので蓬莱島に寄っている場合じゃなくなったのを今思い出しました。ひょっこりひょうたん島のモデルだそうでちょっと寄りたかった。大谷翔平ファンのおばあちゃんは他のハイカーさんにも会ったことがあるらしく、その時は一緒に蓬莱島にお参りしたらしいです。

hirasanpo.net

くじら館の前にあるダイナミック鯉のぼり。大型クレーンをそんな使い方してるの初めて見てちょっと面白かったです。遠くからでも本当によく見えるので、鯉のぼりの時期になったらぜひ見に行っていただきたいです。

岩手船越駅へ到着。早めの到着です。明日金華山に行くため、今日は一ノ関まで向かいます。宮城の知り合いのご厚意で車で迎えに来ていただきました。

産直ひろばふれあいパーク山田で磯ラーメンを食べました。すごく磯。

車で移動でせっかくなので遠野の高清水展望台に寄ってもらいました。本当にここの景色は何度来ても感動です。初夏の雲が流れていくのを眺めます。いつか雲海の時期にこなくては!

 f:id:ochinaihappa:20231108235441j:image

今回の散歩は17km。短めと思っていましたが鯨山は結構難敵。鎖場があるので冬は結構危険かも。海も空も緑も花も綺麗な初夏から夏にかけてぜひ歩いてほしいルートです。