長距離おさんぽ部

長い散歩が好きです

私が大金持ちになるまであと3年(宮城県石巻市 金華山 :5km MCT day37)

今回の4泊5日みちのく潮風トレイル最終日。最終日はこのトレイルの色んな意味で難関の金華山にお参りです。この金華山、観光客向けの定期便は毎日出ているのですが、トレイルルートを歩こうと思うと通常便では時間が足りないため、時期をみて特別便のある時に攻略しないといけません。

今回はGWということで増便されていたため、往路と復路を1便ずらすことでクリアできそうです。朝イチの便に乗るためにどこに泊まるか考えていましたが、前夜に女川までたどり着くことは不可能だったため、昨晩一ノ関の宿に泊まり始発で女川に向かいました。久しぶりに宮城県に戻ってきた!

田んぼの水の注水が開始されています。九州だとGWは田植え日和かもう遅いくらいですが、東北だとあと1、2週間くらいかな?

金華山へ向かう定期便はすでに通ってきた牡鹿半島の鮎川港からと女川港から出ています。鮎川港は車でないと少しアクセスも悪いので女川港から今回は向かいます。GWということもあり船は2隻。お客さんも満員です。船の中では金華山の伝説やお金持ちのなり方等漫談のようなガイドさんのお話を聞くことができます。3年連続でお参りすると一生お金に困らなくなるそうです。

そして何より注意点。金華山は神社のお参りだけならば1時間もあれば十分ですが、頂上まで行くとなると2時間半〜3時間近く見たほうが良いため、1便で行って1便で帰るのはまず無理ですよ、とのこと。これは調査済み。トレランペースなら2時間10分はあるのでいけないこともないでしょうが、結構人も歩いていますし、お参りする時間もゆっくり取れないので避けたほうが良いでしょう。

私も4時間近く時間があるとはいえ神社のお参りもゆっくりしたかったので結構頑張って歩きました。

下船するといきなり結構な坂。歩くのに体力に自信がない方はシャトルバスもありますので、お参りだけの方はご心配なく。10分程度は歩きます。まだ身体が慣れていないので結構息切れ…。まず最初にお参りに行く人がほとんどですが、皆さんを横目に山頂を目指します。

ばっちりトレッキングポールも持ってきていたのですが、観光客も多くガチ感が出過ぎて少し恥ずかしかったです。

島にはところどころご神木のような迫力の巨木があります。

サクラソウかな?

なかなか頂上の気配がせず、周りにハイキング客も疲れが見えます。みんな頑張れ!

やっと頂上です!振り返ると絶景!ここまでおよそ1時間でした。

奥の院にお参りし、しっかりお金に困らないようお願い…でなくこのトレイルに旅が無事に進むことをお祈りしました。道中の神社でのお参りの願いごとは旅の安全に統一しています。

あまり皆さんこちらまで寄り付かないのですが、奥の院からほんの少し先まで歩いたとこから見える景色が本当にすごいです。少し危険なので小さい子と一緒だと厳しいかもしれませんが、せっかく上がってきたのならぜひここまで!牡鹿半島もよく見えます。

太陽の周りに綺麗にハロが出ていました。

いいペースで上がってきましたが、頂上で結構時間を使ったので下りも早足で行きます。上がってきた道をそのまま降りていく人がほとんどですが、トレイルコースは南側から戻ります。南側は人も少なく、鹿や猿をあちこちで目にします。鹿のフンもいっぱい。下草はおそらく鹿の嫌いな植物だけ残っているかもしれません。いきなり写真のような天然芝?地帯の急傾斜を降りますが、鹿のフンも見通しは良いですが結構滑るので注意です。

ハイキング客で賑わう北側の参道とは違って静かな林の中を黙々と下っていき、難所もありません。走っても下りられそう。

電柱が倒れています。台風で倒れたものかもしれません。

金華山は震災だけでなく、その後の台風の被害も大きく、ここまで復旧するのには大勢の人の努力があったのでしょう。

ふと草むらを見ると鹿に見つめられていました。金華山の鹿は奈良や厳島神社の鹿と違い割と人間といい距離を持っています。黄金山神社周辺を住処にしている雄鹿については安全のために角切りをしているようです。登山道には鹿の遺体も度々転がっていてなかなかびっくりしますが、狭い生態系の中で数が自然に増減しているのでしょう。ただし鹿の植生への影響は大きく、若木が育たない等の問題もあるようです。

トレイルルート中でも鹿の群れが確認される低山は下草が根こそぎ消え、さみしい山になってしまっています。オオカミ等が絶滅し天敵がほぼいないことからいくら自然のこととは言え、人の手による調整も必要かと思われます。

ニホンザルもいます。サルは結構怖いので目を合わせないように…。林の中を歩いていたと思ったら急に境内が見えてきます。無事に下山です!

黄金山神社のご神木の欅。樹齢は800年程度らしいです。

黄金山神社にお参り。御朱印をいただきたかったのですが、結構待つので最初に預けた方がいいかもしれません。

弁財天堂。素敵な社殿です。

その下には銭洗所があります。1万円札をビシャビシャにしてしばらく大事に持っていましたがどこかで使ってしまった…。クレジットカードを洗う人もいてなるほどなと思いましたが、私ならよく使うしスマホか…?今度はスマホを洗おうと思います。

本殿の下には足を伸ばしてくつろげるスペースがあります。船の時間待ちの人がたくさんいます。私も思ったより早くに着いてしまったので、お茶を飲みながらゆっくり休みました。

船着場まで下ったところで表参道と裏参道が分かれていることを知りました。どちらから行った方が良いとかあったのだろうか。

船のガイドさんが説明していましたが、金華山は金山で砂浜で砂金が取れるのだとか。確かに砂浜はキラキラしていますが全部雲母でした。ちなみにここで採れた金を持ち帰るとえらい目に遭うよーという忠告もされています。

今回の旅は本当に天気に恵まれて歓迎されているようでとても幸せな気持ちになります。船の時間まで港でぼーっとしていました。帰りは鮎川港行きの船もあるので乗り間違えないように!牡鹿半島の先端に連れて行かれるとなかなか大変です。

女川でごほうびにおかせいさんも海鮮丼を食べました。幸せな5日間でした。足はヘロヘロですが…。

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今回は金華山小さく一周して5km程度。距離はあまりないように見えますが頂上でゆっくりして歩いた時間は大体2時間半でした。船の都合上なかなかハードルの高いルートですが機会を逃さずチャレンジしてほしいです。

お金に困らなくなるための3年参り、私は1年目が終わったのであと2年!行けるかなぁ…。

いざ最長の箱崎半島(岩手県釜石市 両石駅〜鵜住居駅:31km MCT day35)

この歩きでごくたまに25kmを超えることはありましたが、最初の1日目で膝が爆発するという挫折を味わってからなるべく避けていました。しかし今回の箱崎半島は満を持して一気に歩くしかありません。

半島の真ん中あたりに道路があるので距離は増えてしまいますが二分割することも可能ですが公共交通機関はないので車が必須。予定が30km程度ならなんとか頑張ってみます。

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ここからスタートは二度目です。両石駅。今回はちゃんと北上します。

風も穏やかでいい天気です。時間はあるのでのんびりいきましょう。

箱崎半島はこんな感じで林道がほとんどです。たまに軽トラの人がお仕事で走っています。途中で出会った軽トラのおじさんはわざわざバックしてきて「クマが出るから気をつけなさいよー」と心配してくださいました。私もクマは怖いので途中でもしかして会いました?と恐る恐る聞いてみましたが会ってないとのこと。よかった…。

空は晴れ渡り海がより青く見えます。初夏の新緑も映えそこまで暑くもなく最高のハイキング日和です。

半島の先端に入るまでには集落がいくつかあります。ここは仮宿集落。少し高台から見下ろす海へと続く坂に並ぶ集落と里山の風景が印象的です。この先にお墓があるのですが、とても景色の良いところに建っており、住民を見守っているかのようでした。

海にのびる電線。竹藪の隙間から見える海がとても綺麗。

しばらく舗装された道路があり人の気配がありますが、その先は携帯の電波も繋がらなくなってきます。初日に行った千畳敷の入り口あたりが半分になるのですが、なかなか進みません。ちょっと疲れてきています。

たまに林の隙間から見える白い岩肌と海が綺麗です。少しだけ半島の先端に向かって坂を登っていきます。

地図によるとこの先にトンネルがあるとのことですが本当にこんなところにトンネルが?もしかして普通に峠越えをさせられるのでは??と疑いはじめているところですが…

思ってより整ったトンネルが出てきて唖然としているところです。なんでこんなところに綺麗なトンネルが?車とはすれ違いませんでしたが林業や漁業でこの道路はよく使われるのでしょうか。普通の車で通るにはなかなか勇気がいると思うのですが…。

乗り捨てられたマイクロバス。森に帰ろうとしています。こう見るとエモいのですが不法投棄はやめましょうね。トンネルを越えて少し歩くのが楽しくなってきましたがもうだいぶ足は疲れてきています。

ここは初日に行った千畳敷の入り口の鳥居!やっと大体半分です。

ただしとても疲れてしまったため色々ほっぽり出して足を伸ばしてしばらく休みます。そういえば今回は熊鈴に加え人里を離れすぎて寂しくなった時のためにラジオを持ってきていました。眺望もなく延々と同じような道を歩くときにはいい暇つぶしになりました。

ここから漁港まで歩くのですが、途中でまさかの水切れ、しかもトイレにも行きたくなってしまい大急ぎで全てを突っ切っていきます。箱崎半島はしばらく水の補給ポイントもないので暑い季節は要注意です。このトレイルを歩いているとまあその辺に自販機あるしペットボトル1本もっとけばなんとかなるかーとか思ってきてしまいますが、全然そんなことないポイントもあるので下調べは入念に。

トイレも水もなんとかなり、あとは鵜住居を目指すだけ。そうは言ってももう28km歩いています。平坦な道とはいえ舗装路はかなり土踏まずにきています。

根浜海岸、宝来館さんの目の前にある石碑。宝来館さんはハイカーフレンドリーな旅館で私も最初はここに泊まって箱崎半島歩きを少しでも楽にしようと思っていましたが、GWにさっさと予約していなかったため泊まれるはずもなく…。いつか泊まりに行きたいです。

山歩きに慣れたハイカーでもこのトレイルの舗装路はなかなか音をあげると聞いています。私は山歩きにも別に慣れてもいないのですが普通に音を上げています。だいぶこのとき叫びそうになっていました。一歩一歩、トレッキングポールにほぼ全体重かけて腕力で歩いていきます。

ここは鵜住居のラグビースタジアム。ラグビーの専用スタジアムというと花園くらいしか知らないのですがこういう原っぱタイプもあるんですね。

疲れ果てながら隣の橋を眺めるとおじさんとカラスが喧嘩していました。

流石に30kmは本当に体力のギリギリです。これに階段が入っていたらやばかった。無事にうのすまいトモスに到着です。

ラグビーの形の椅子。座って態勢を整えます。電車の時間までしばらくあるので、祈りのパークを眺めたり、うのすまいトモスの施設をゆっくりとみてまわりました。

しばらくすると夕立のような雨がざっと降って虹がうっすら。施設の職員さんも外に出て虹を眺めていました。再び三陸鉄道で釜石駅に。

夕暮れが近づいて無事に釜石駅に到着しました。向かいには洋風こたつ列車が泊まっています。

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今回の散歩を最長31km。やっぱり30km超えはきついということがよくわかりました。何はともあれこの区間は一つのハードルだったので越えられてよかったです。何より天気に恵まれて本当に良かった。

このトレイルは雨でも雪でもそれぞれの良さを感じることができますが、海のそばを歩くときだけは青空が広がっているというだけでモチベーションが大きく変わります。森の中ならば雨でもしっとりとしていていいんですけどね。セクションでどこか拠点にして歩くときは海のそばを歩く日に天気予報を見ながら晴れの日を合わせて歩くのがいいかなぁと思います。

明日は四日目!この日の疲れ切っているのがわかっていたため短い距離で納める予定です。

 

半島先端ひとりぼっち(岩手県釜石市 千畳敷:13km MCT day33)

前回から引っ越しをし、まだ新生活にも慣れていないけれども東北での暮らしが忘れられず、居ても立ってもいられなくなって早速GWを利用してみちのく潮風トレイルの続きを歩きます。今までで最長の4泊5日での歩き。果たして私の足は持つのか!?

今回の大物は箱崎半島。一周するとおよそ30kmあるのですが公共交通機関ではエスケープできる場所もなく、気合を入れて望むしかありません。箱崎半島の先端に千畳敷と呼ばれる景勝地があり、トレイルルート外にはなりますが他のハイカーさんたちから行かないともったいない!と言われたためなんとか行けるように頭を捻ります。

箱崎半島1周は私が1日で歩けるかなりギリギリの距離。そこに往復2時間を加えると野営しない限りとてもじゃないが歩けない。

結果、釜石からレンタカーを借り千畳敷の手前の漁港に車を置かせてもらって千畳敷に向かうという方法を取りました。それでも片道6km近くあるのでなかなかのハードルです。

箱崎白浜漁港までは道路も広め。漁港の前には透き通る海と真っ赤な鳥居があり、初夏の空気によく映えます。今日は朝から移動もありましたが距離が短いこともありのんびり歩いていきます。

道端のすみれ。長い冬も終わり地面を見ているだけでも楽しいです。

唐突に綺麗な道路出てきてびっくりしたけどクマが出ます。こんな綺麗な道なので車でもっと先まで行けばよかったな…と思いましたが、この先結構地面がえぐれていたりするので、車高の高い軽の四駆とかじゃないと厳しいかも。行けないことはないです。

黙々と半分砂利道半分舗装路見たいな道を歩いてあっという間に先端に着きます。車はここにも余裕で止められるのですが、さっきも書いたとおり道がいいとは言えないので車の丈夫さに自信がないならやめた方がいいです。鳥居が見えますが意外とここからも距離があります。すごく地味なアップダウン。

大体1時間くらい歩くと千畳敷。これは圧巻!なかなか写真ではスケール感が伝わりません。高いところから見下ろしているのですが下にも降りることができます。

ただしこのロープを使って…。地味に信用ならないロープなので引っ張り回しましたが大丈夫。ザックを上にポイ置きして身軽になってからおりていきます。

風もそこまでないのですがそれでも波しぶきが大迫力。白い巨岩とのコントラストが映えます。

半島を望むとこのとおり。上から見るだけではわからないスケールです。自分が小さくなってしまったようです。

千畳敷を端から端まで行ったり来たりしたり、岩にぶつかる波しぶきをずっと眺めたりしてぼーっと時間を過ごします。こんな端っこにひとりぼっち。なんだか贅沢で時間を忘れすぎてちょっぴり不安になる時間です。お腹も空いてきたのでまた元きた道を帰ります。

森の中にはいろいろな花が咲いています。この花はなんの花だろう。先ほどの漁港に着いたらレンタカーを返して宿に向かいます。これから5日間のうちの3泊、拠点を釜石で過ごします。駅から近いのでフォルクローロが良かったんですがGW価格がとんでもなかったので市街地の方に宿を取りました。

今回は大渡パンションwillさんにお世話になります。イオンにとても近くて部屋も広く、なんとドラム式洗濯機が使い放題!お風呂は共有ですが2部屋での使用なのであまり被ることもなくゆっくり入れます。長期滞在ならここにまた泊まりたいです。ただ駅からちょっとあります。歩きにきているのに10分そこらで悲鳴をあげるのはおかしな話ですが、なぜか一度電車に座ると土踏まずが悲鳴をあげるしまうのです。

晩御飯はイオンで食べました。イオンはなんでもあって本当に助かります。

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GW初日を良いお天気でスタートし気持ちよく歩くことができました。

 

北から望む釜石(岩手県釜石市 両石駅〜釜石駅:14km MCT day32)

実際に歩いた日とこのブログに綴る日の乖離がだいぶ大きくなってきており、おおよそ1年ずれています。

前回は南から釜石を目指しましたが、今回は北の両石駅から釜石を目指します。

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実は去年の3月に異動で拠点にしていた仙台から関東に引っ越しており、この釜石を両側から目指したトレイルが仙台から向かう最後のみちのく潮風トレイルとなっています。とは言っても既にここまで新幹線を利用して宿泊で来ているため、あまり関東から向かうのも移動の労力は変わらないかもしれません。

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乗り慣れてきた三鉄。お休みの日は観光客で賑わっています。両石駅からスタートします。一応NOBO(北上)で進んでいるつもりではあるのですが、公共交通機関の都合や荷物のデポの場所等考えて割とめちゃくちゃに歩いています。セクションハイクだしゴールさえ最後ならいっかと最近思い始めています。
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駅を出てすぐに鮭供養塔。季節によっては遡上してくる鮭が見られるようですがまだ見たことがありません。隣に立つのは魚へんに毛と書いて「魹(トド)」の供養塔。トドの漁をやってたのか…とびっくり。そしてトドってそんな漢字あるのか…と二度びっくり。魚扱いだったんでしょうか。

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ちょっとしたトンネルの名前は水海トンネル。ここを抜けると水門と穏やかな海が広がっています。その先に水海公園。キャンプ場もありますが冬季はトイレが閉まっています。冬の間は凍結してしまうため、閉鎖されるトイレも多いので歩く際は要注意です。
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水海公園から眺める海はとても綺麗。穏やかな海ですが津波の際は大きな被害を受け、再度整備されて今があります。舟のモニュメントも震災前から存在します。小さな池は凍ってカチカチ。
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ここから鳥谷坂に向かって林道に入ります。林道は比較的歩きやすい。こんなところに浮子アート。猫ちゃん?の眉毛がとてもキュート。
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こんな感じの砂利道がしばらく続きます。今のところサクサク。このような切り通しの道はもうデジャブになるくらい今まで見た気がします。
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少し山道に入っていきます。矢印付きのトレイルポストはわかりやすくて助かります。
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尾根に向かって九十九折りにどんどん登っていきます。結構な坂ですが、ジグザグなので歩きやすくはあります。カウントダウンされると多少やる気は出る。
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斜面に沿ってこんな感じの階段もあります。これは歩きやすい階段。ジグザグに斜面を上がっていってやっと峠に到着。

気仙沼から八戸を結ぶ旧街道は三陸浜街道と呼ばれるのですが、鳥谷坂はその途中に当たります。向こう側には釜石の町。f:id:ochinaihappa:20230302010231j:image

旧街道沿いには小さな祠やお地蔵さんが見守っているのですが、鳥谷坂のこの仏像は店名の大飢饉の餓死者の供養のために建立されたものとのこと。今ですら冷夏や台風で地域的に大規模な農作物の不作が起きるくらいです。ただでさえ冬を越すのが困難な東北地方で人々は祈るくらいしかできなかったのだとやるせなく感じます。

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石段を登った先に小さな山神様の石碑。
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くだりはずんずん降りていてって人の気配を感じてきます。f:id:ochinaihappa:20230302010237j:image

山の中に梅の花。梅の花が咲き始めるとどんどん春が近づいてきます。
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林から出ると思ったより民家の路地裏。人の生活の中を歩いている感じがしてなんだかいい雰囲気です。少し記憶が薄れていて本当にここだったか朧げですが、ここの住民の方とお喋りし峠を越えてきたという話をしたら、昔は子どもたちで海に山を越えて行っていたんだと懐かしそうにお話ししていました。
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釜石の市街地にどんどん入っていきます。これはなぜか気になった何か。免震とかの装置だろうか。
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釜石市役所。ちょうど釜石出身棋士の小山玲央さんが棋士編入試験からプロ入りすることが決まったすぐ後です。おめでたい。

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釜石の町中をずんずん歩きお昼ごはんをいただきます。精肉店でもある工藤精肉店食堂部さん。

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トンカツを頼んだら店員さんにうち量多いけど大丈夫?と聞かれました。大丈夫です!!と元気に注文しましたが思ったより大盛り。お肉屋さんなだけあってトンカツがとても美味しいです。

しかし身体が冷えた後に食べたのでこの後消化に苦しみました。ここから釜石駅まではすぐです。

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もう見慣れた光景になってきた釜石駅。ここから仙台に帰るのはこれで最後になります。この先まだまだ釜石駅は拠点になります。少しお高いですがGo To Travelの恩恵を受けて駅直結のフォルクローロ釜石さんに泊まることが多かったです。最寄りにコンビニしかないですが温泉がついているのでお気に入りです。日帰り入浴もできるので電車待ちの間にさっぱりしたい時もおすすめ!

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今回はおよそ14kmと少し短め。次の箱崎がとても長いので気合を入れて次の散歩を楽しみにします。

ものづくりの地へ(岩手県釜石市 唐丹駅〜釜石駅:18km MCT day31)

前回越喜来の「潮目」を訪れどんどんトレイルを歩きたいという意欲に満ち溢れています。今日の始まりは前回雪景色だった唐丹駅。ここから釜石駅へ向かいます。釜石は宿泊の拠点としていますが、この景色とは打って変わって工業地帯。どのように景色が変わっていくのか楽しみです。

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少し雲が多いですが風もなく良い日です。
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サクサクと開けた伐採用?の道を歩いていきます。

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この日は2月でしたが、前回のような大雪が降った直後だと雪道になることもありますが、東北といえど太平洋側はあまり雪も積もりません。太平洋側の気候らしく、寒くはありますがカラッとした青空の中冬でも散歩を楽しめます。下草が生えていたり、虫が少ない分、野営をしないなら冬のほうが歩きやすいかも?
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でもここの桜並木は春に見たい。
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津波の碑。震災の日も近くテレビ局が取材に来ていたため早々に退散。f:id:ochinaihappa:20230302005922j:image

伊能忠敬の測量を記念して建てられた測量の碑が少し上がったところにあります。入り口にあるこの「地球の微動あらざらんか」という言葉は、たとえ測量してもきっと地球はいつも僅かに動いていてきっとその測量結果も訂正される日が来るということを、伊能忠敬がわかっていたということを示す言葉です。

これが測量の碑。何を書いてあるかはよく読めません。きっとこの場所も東北沖地震で伊能忠敬が測量したときから大きく動いているはずです。

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最近ノルマの様になってきた(そして癖になってきた)峠越え。今回は鍬台峠。

ちなみになぜかここに入る手前にそれっぽい横道があって、水色のテープがあったのでずんずん林に入っていましたが全く違う道で肝を冷やしました。

みちのく潮風トレイルコースには正規の文字が書いたテープの他に水色のテープが結んであることもあるのですが、林業の人も使っていることがあるのでお気をつけて。まぁちゃんと地図を見ていれば間違いようがないのですが。

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こんな感じの広々した林道です。歩きやすい。
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そうでもない。
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よくわからない感じにくねくねまがって峠越えを目指します。
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峠越え!山陰側は雪が残っている予感です。トレッキングポールはありますがアイゼンをつけるほどではないかな。

この峠を越えるときの鞍部の逆三角の空が最高です。病みつきになってしまう。山の頂上を目指すのとはまた違う楽しさがあります。
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山陰側は思ったより積もっていて、慎重に歩いていたつもりでしたが動画を撮っている隙に油断してすっ転びました。無事です。
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峠を越えると釜石の町が見えてきます。遠くに観音様も見えます。今日は観音様の向こうまで行くのですが、こう見ると遠いな…という気持ちになります。でも一歩一歩歩けば必ず着くもので、毎回自分の一歩の力に感慨深くなります。
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なんだかわからないモニュメント。解説もない。変な穴が空いていて、中はワイヤーローブ。一体何なのだろうと360度観察していました。よくわからないところで時間を使ってしまった…。

ちなみにこれの存在を他のハイカーさんに聞いてみると誰も認識していませんでした。みんな見る場所が違って面白い。
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釜石の手前に鉄の歴史館。面白そうなので当然入ります。
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中はかなり充実していました。鉄づくりの歴史を大掛かりな装置を使って勉強することができます。
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施設の展望所から見える景色もきれいなのでぜひ訪れてほしいです。f:id:ochinaihappa:20230302010003j:image

アンモナイトのレプリカが!これは圧巻でした。
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全然知らなかったのですが、ひょっこりひょうたん島のモデルの島があるようです。探さなくては。
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日も傾きかけるなか、釜石に到着します。製鉄所からあがる煙が夕焼け空に上ります。峠を越えると急に工業地帯なのでなかなか驚きです。

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なぞのパイプ。
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釜石駅に到着。SL銀河の発着駅でもあるので駅舎もSL仕様です。この横のフォルクローロ釜石によく泊まっています。
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駅前にあるものづくりの火。釜石のものづくりを象徴するモニュメントです。
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この方は大島高任。近代製鉄の父です。先に鉄の歴史館で勉強してから見るとなおよし。

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今回はちょうど歴史館の見学も合わせちょうどよい距離でした。

自然の中を歩いていると、このような工業地帯は少しびっくりしますが、ここで暮らす人達が何を支え、何を守ってきたのか、思いを巡らすのはとても充実した時間になるのではないかなと思います。

私は釜石で見る夕焼けが実は一番好きな景色かもしれません。

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