今日は私の住む宮城にとって、東北にとって、日本にとって特別な日です。
あの日、当時九州に住んでいた私にとって東日本大震災はどこか他人事で、私の日常が変わることはなく、社会人になって関東に出てきて日本各地から出てきた人と出会ってもなお、ずっとどこか寄り添えない疎外感のようなものを感じてきました。
どうやっても私はあの日の地震の揺れや、津波の恐怖や、暗闇の不安や、避難所での不自由さや、復興にむけた努力と葛藤を感じてきた当事者にはなれません。
ただ、3年前に宮城に引っ越してきてみちのく潮風トレイルで被災地を歩き、目で見て、音を聞いて、空気を知って、やっと他人事から私にもあったかもしれない過去や、今後の未来について考えるきっかけとなりました。
あの日以前に広がっていた風景はもう戻らないけれど、記憶には残しておくことができます。この災害が多い日本で生きていく中で、災害に限らず日々変わっていく景色の中で、その時の風景を、音を、空気を、この目で、耳で、肌で記憶していきたいと強く思ったことは私の歩くことにこだわる一つの理由でもあります。
車は快適で速いけれど、私は私の歩く速度で今日この時の風景を自分の中に残していけたらなと思います。
今回はみちのく潮風トレイルとは関係ないほんの日常の少しだけ長い夜の散歩の記録です。
震災から12年。宮城県で羽生結弦さんがアイスショーを開いています。震災の日の羽生さんの記憶や未来へつながる希望、被災地の方々の想いを強く感じるプログラムでした。内村航平さん筆頭に他の演者の方々の演技にも驚き、笑い、感激しました。
終演後、シャトルバスへ急ぐ人々の波から外れ、すっかり暗くなった中家路へのんびり歩きます。
会場は仙台市のお隣利府のグランディ21。そこから10km程度歩くと自宅の泉中央駅近辺になります。最初経路を検索したら森の中を案内されそうになったので、さすがに暗くて危ないので大通りを歩いていきます。
電車だと遠いけど直線距離だと近いなとずっと思っていました。
周辺は暗いけれど左側には綺麗な新興住宅地が広がり、道路も広く大きな歩道があるため安全です。県民の森の横を歩いていきます。少しだけ寒いですがアイスショーのために厚着をしてきたので大丈夫。左車線は送迎のタクシーがバンバン通ります。
大通りだと思って何も考えていなかったですが熊がでるらしい。周りに人がいないので襲われたらひとたまりもなく少し身が引き締まります。熊はもう起きているんでしょうか。
大通りを走る車の明かりはありますが、森の方は真っ暗で星が綺麗です。空を眺めながら黙々と歩きます。
熊が出てこないか少し不安でしたが何もなく下界まで降りてきました。よかったです。まだまだ先は長いです。
利府町から仙台市に入りました。利府町との堺に少しだけ宮城野区の区間があり、泉区に入ります。車通りは多いですが人は歩いていません。道路沿いのラーメン屋に何度か心惹かれて入りそうになりましたが我慢。
青麻神社に上がる参道を示した案内。青麻神社を通る道から降りてくればよかったな少し思いましたが夜の神社は怖いので通っていてもスルーしてるかもしれません。
東光寺。近づいてしまったら見えなくなってしまい写真が撮れなくなってしまったのですが高台に綺麗な鐘堂が見えます。山門も大きく立派なお寺さんです。
少しだけコンビニで腹ごしらえをしてまた黙々と歩きます。泉区に入りました。南側は街の明かりがキラキラしています。
車が通らないと真っ暗。こんなに暗いことある??ってくらい暗いです。歩道はしっかりしているのですが、田んぼの真ん中なので街灯は置かないんでしょうか。歩いている人はまあいないのですがたまに自転車が来ます。
カインズのあるゾーン。ここにはアイスリンク仙台があります。羽生結弦さんはじめ多くのフィギュアスケート選手たちのホームリンクです。館内には羽生さんの展示コーナーもあるみたい。カインズにはしょっちゅういくのですが入ったことはありません。ここの正面のすし勘も安くて美味しくてお気に入り。
見慣れた景色に帰ってきました。まっすぐ歩けば泉中央の駅前の交差点。ベガルタ仙台のホームスタジアム、ユアテックスタジアム仙台もあります。地下鉄の終着駅でもあり、泉中央は暮らしやすく楽しい町です。
普段車で通る景色を黙々と夜風を感じながら歩いて、今日の日の終わりとなりました。毎日目にする風景の記憶を大切にしたいものですね。