昨夜は大船渡市街地に宿泊し、早朝スタートのつもりでしたがどうしても起きれず少し遅めにスタートしました。旅先なら早起きできると思っていましたが疲れていると割とそうでもないものです。
あいにくの雨模様ですがそんなにひどくなさそうなので気にせずスタートします。今回のルートは大船渡駅近辺から綾里峠を越えて綾里駅までです。「綾里」は「りょうり」と読みます。初見だと「あやさと」と読んでいて電車の検索で困りました。
これまでのルートで小さな山はありましたが、峠は初めてなような気がします。そもそもこのみちのく潮風トレイルに限らず峠を歩いて越えたことがない気がします。
加茂神社。ここはトレイルルートに入っていますが、目的地からすると少し寄り道。しかしちゃんと意味があるようです。
狛犬が過剰装飾。マスクとウクライナスカーフ。旅路の安全をお祈りします。
神社から参道を下ると大船渡の町が見下ろせます。ここから見える景色は東日本大震災の津波で一変しました。
階段のそばにある標識にはQRコードが表示されています。このQRを読み取ると、ここから見える2011年3月11日の景色の動画を見ることができます。今見える景色と対比して当時の様子をスマホで見ることができるのはなかなか面白い取り組みかと思いました。動画自体はどこからでも見ることができますが、ぜひ現地で見てほしいです。
盛川を越えて太平洋セメント工場沿いに歩きます。この少し上流に盛駅があり、三陸鉄道リアス線の始発駅となっています。寄ってもよかったですがまぁそのうち電車に乗って行くでしょう。
縦横無尽に伸びるパイプ。工場のこういうきっとよく考えられているだろうけれどごちゃごちゃに見える配管は見ているとわくわくします。
工場地帯を抜けるとすぐ三陸鉄道の陸前赤崎駅に着きます。陸前赤崎駅周辺には貝塚が多く遺されているようで、待合室は周辺の遺跡の資料室にもなっています。陸前赤崎駅から綾里駅までは電車や車ならばトンネルを越えてすぐです。
綾里峠の入り口。12月なので熊は寝ているとは思いますが、最近暖かいので熊鈴は鳴らしながら行きます。
綾里峠は地元の人によってよく整備されており、峠まであとどれくらいかしっかりカウントしてくれる標識があって少し楽しい気持ちになります。これは一丁目。(一合目?)
みちのく潮風トレイルのテープと有志による四合目標識。なかなか進まないですが頑張ります。
冬になり木々の葉が落ちて、少し上がると見晴らしがあります。枯れ葉がふわふわで歩きにくいところもありますが、特に苦も無く上を目指します。
峠越え!!昔の人たちはここを通って町を行き来していました。嫁入り行列でここを通っていたとのことですが、なかなかハードなことをするもんだよなぁ…と感慨深い気持ちになります。トンネルができてよかった。
山の頂上とは違い、峠道はこのように尾根の鞍部を越えます。山の頂上をとにかく目指すのも楽しいですが、山道を上がって鞍部から向こう側の景色が見えたとき、まさに峠を越えたー!という気持ちになって達成感があります。
山頂というわけではないので木々に囲まれて眺望が良いわけではないのですが、葉の落ちた木々の間から向こう側の町が見えます。峠を越えればあとは緩やかに下っていくだけです。仕事の峠を越える、病の峠を越える、峠を越えるとはこういうことなのかと峠の魅力に気づきます。
ここからは山道を楽しみながら緩やかに下っていくだけです。峠道の出口には不動滝へ向かう脇道があり、すこし奥まった岩場を抜けていくと滝を見ることができます。
このあたりから電波が通じなかったのでスマホをしまっていて不動滝の写真を撮るのをすっかり忘れていました。これは手前の小さな滝です。少し奥まって暗く滑りやすいので要注意。
朝ぐだぐだしていたせいで乗りたかった電車を見送ります。次の電車の時刻まで結構時間があるなぁと思いながら綾里の町を歩きます。
少し歩いているとご近所の方に声を掛けられてありがたく坂本工房さんで休憩。トレイル関係の写真も貼っています。工房内には神社に使われるであろう美しい木工細工と、あたたかな薪ストーブ、そして工房の主?サビ猫のコロちゃん。
先日訪れた気仙大工左官の家でみたこのあたりで継承される木工技術の一つかと思われます。
ストーブで暖まりながらコーヒーをいただき、真摯に来客対応してくれるコロちゃんを眺めながら綾里峠のお話を聞きました。定期的に綾里の方々が道を整備してくださっているおかげで歩きやすい峠道が保たれているそうです。
薪ストーブが暖かくて少し長居しすぎた気もしますが、とても心地よい空間でここでお話しているだけで綾里の町をとても好きになりました。
これは私の故郷にももっと古びたやつがありました。田舎の方によくあるけどリアルなので結構どっきりします。ここのはピカピカだったので新しく生産されていることにびっくりしました。宮古島まもるくんとかの仲間でしょうか。
峠道を下ってすぐに坂本工房さんのところで地元の方と会話しましたが、綾里は話しかけてくれる方が多く駅までに3人とおしゃべりしました。今まで北上する中で道行く人から話しかけられることがなかったので新鮮で少しうれしいです。綾里峠を越えてきたというと褒められました。
綾里駅はとてもきれいな駅舎です。中には有人の乗車券売り場、ちょっとした売店、二階に展示室があるようですがこちらは閉まっていました。ただし2023年の3月で閉店しています。少し電車の時間までぎりぎりになってしまいましたが何とか本日のゴール。
三陸鉄道で盛へ。乗車券を窓口で買うと硬券でもらえます。回収されちゃいますが言えばもらえたのかな?初の三陸鉄道乗車です。ちょびっとですが。
三陸鉄道は車窓からの景色もよく素敵な時間でした。観光客もちらほら。
盛駅のイシツブテ。着ぐるみなのに浮いてる…!!
盛駅は三陸鉄道とJR大船渡線BRTの駅です。バスに乗って帰宅します。BRTの区間も終わりですが、もう割と乗るのしんどいところはあります。やっぱり30分以上乗るなら電車の方が快適です。
今回は18kmの道のり。宿で朝寝坊のおかげで帰りがだいぶ遅くなってしまいました。公共交通機関を利用してのセクションハイクは時間をしっかり確認しながら歩かなければならないなと思いました。
綾里の方々の温かさに触れ、大満足のお散歩でした。